第3回日本縦断‥鈍行列車とフェリー旅・その11.(韓国編) 釜山.食･歩･乗･浴.紀行 (第42回海外放浪.韓国no21)

9:20
海を渡ってやって来たのは、隣国韓国の釜山です。
新しくなった国際旅客ターミナルから歩き始めました。

港町.ほろ酔い散歩‥釜山の人情食堂。
うまい.安い.あったかい‥韓国の人情食堂。
‥共に鄭銀淑.著(双葉文庫)です。

私が韓国を歩く時の参考書。
お酒大好きの紀行作家‥鄭銀淑先生の作品は、なにげない街の風景や庶民的な食堂を紹介してくれるオススメの一冊です。
午前中はこの本を参考にして歩きたいと思います。

9:48
お腹すいた‥
まず、やって来たのは水晶商街アパート。
観光客とは無縁の場所です。

水晶商街アパートの1階は食堂街になっています。
ここにあるチャンニョン食堂のフェククス(刺身のせ麺)を楽しみにして来たのですが‥

ありゃりゃ。
まだ1軒もお店が開いていません。
残念です。

アパート前の路上は市場になります。
まだ早いみたいですね。
ちなみに今日は日曜日なので休みが多いかもしれません。

水晶商街アパートのような宅商複合施設はかつて時代の先端をゆく建物でしたが、それは過去の話し。
水晶商街アパートの前は更地になり、これから再開発されるようです。
次に来た時は又、変わっている事でしょう。

家具屋さんの多い界隈を歩きます。

10:16
水晶商街アパートから歩くこと30分弱。
やって来たのは凡一洞にある「ハルメクッパ」です。
釜山で多く食べられるデジクッパ(豚汁かけ飯)の名店です。
私は釜山に行くと必ず立ち寄る店でもあります。

もう、お腹ペコペコで限界です。

メニューはハングルのみです。
右から‥
ククス‥豚汁かけ麺
クッパ‥豚汁かけ飯
ネジャンクッパ‥豚内臓汁かけ飯
スンデクッパ‥腸詰め汁かけ飯
タロクッパ‥飯と汁が別々になったクッパ
スベク‥茹で豚定食
スンデ‥腸詰め
スユク‥ゆで豚

ヨシッ！今日はスベク(ゆで豚定食)にしようっと。
「スイマセ～ン.スベク ジュセヨ」

スベク(茹で豚定食)です。

この店の豚肉は丁寧に処理されているので臭みがありません。
プルンプルンの豚肉です。
そして、半透明で淡泊なスープはこの店の創業者である故チェ.スンボクさんの努力の結晶で、釜山には数多くのデジクッパの店がありますが、どこにもマネできない一品です。

クロム、チャルモゲッスミダ.
(では、いただきまーす)

最初はチマチマと食べていたのですが‥

やっぱりこれは、汁にご飯を入れてクッパにした方が旨い！
てな訳で、汁にご飯、肉、ニラとアミをのせてクッパ一丁あがり～。

※ちなみに定食では肉の量がクッパの倍近くあります。

10:34
いやぁ「ハルメクッパ」は今回も私を裏切りませんでしたね。

凡一洞界隈は映画の街。
ハルメクッパの裏にある、寶林(ボリム)劇場です。
凡一洞三大劇場のひとつで、1960～70年代の庶民の娯楽の大殿堂でした。
2007年に映画館としての役目を終え、今はスーパー.ボリムマートになっています。
こちらは裏側ですね。

凡一洞の鉄道をまたぐ陸橋‥クリムタリ(雲の橋)。
地下鉄凡一駅からハルメクッパに向かう時、なにげに渡っていた陸橋でしたが、
なんと、この陸橋は映画「友よチング」の撮影地でありました。

ヘェーです。

映画「友よ チング」のワンシーン。
主人公の悪友4人組です。

これが‥

クリムタリの階段に描かれていました。

クリムタリから眺めた釜山の街。
アーチの橋の上は凡一ロータリー。
ハルメクッパと寶林(ボリム)劇場跡は左方向にあります。

ポッ！
電気機関車が通ります。

｢ビリの奴のおごりだ｣
‥と言って走り出したジュンホを追う三人。
映画｢友よチング｣で、チャガルチ市場から凡一洞の三一劇場へ疾走する名シーンです。

このシーンも‥

クリムタリの階段に描かれていました。

このクリムタリのたもとに｢クリムタリパンチプ｣と言うパン屋さんがあります。
防腐剤を使わないドーナツやパンは地元の方に人気だそうです。

当たり前のことですが、看板はみんなハングル。
韓国に来たことを改めて実感しました。

11:13
四面にあるデジクッパ横丁。
凡一洞のハルメクッパを知る前は、私もよくここでデジクッパを食べたものです。
大半の店が24時間営業なので、夜遅くに着いた時や朝早く出発する時に重宝しました。

11:42
釜田(プジョン)駅にやって来ました。
さて、どうしようか‥
と、迷ったら私はだいたい駅に行きます。
釜山にはKTX(韓国高速鉄道)が乗り入れる釜山駅と、この釜田駅のふたつのターミナル駅があります。
釜田駅は、東海岸を北上する東海南部線と慶尚南道を横断する慶全線の列車の始発駅です。
せっかくですから、ちょっとだけ韓国の鉄道に乗ってみましょう。

ちょうど、列車が出るみたいです。
釜田→松亭までのキップを買いました。
韓国の鉄道(地下鉄や広域鉄道は除く)の列車は、全て座席指定です。
席がない場合は立席キップで乗ることができます。

釜田11:52発のムグンファ号1780列車.1号車31番席です。
松亭まで2600ｳｫﾝ(260円)。
約20分のちいさな鉄道旅を楽しみましょう。

駅に架線がありません。
まだ非電化ですが、数年後には電化されます。

こちらはディーゼルカーのムグンファ号です。

私が乗るムグンファ号1780列車はこちらです。

ディーゼル機関車が牽引する客車3両の編成です。
これはラッキー！
日本ではまずお目にかかれません。
韓国でもディーゼル機関車が牽引する客車列車は減りつつあります。

ムグンファ号1780列車・慶州経由東大邸行きです。

行先表示は昔懐かしいサボです。
この車両‥ブルーに白帯を入れたらJRの14系座席車と間違えそう。
駅に来てみて正解でした。
では、乗ってみましょう。

ムグンファ号の車内です。
日本の特急列車と同じ2列のロマンスシートが並びます。
これは豪華ですね。

※写真は2009年に釜田駅で撮影したものです。

数年前まで、単線非電化でのどかだった東海南部線は複線電化と線路改良が行われているようです。
新しい駅を建設していました。

かつて海の眺めが良かった、海雲台-松亭の区間は、内陸とトンネルを通る新線ルートになり、味気ないものになってしまいました。

12:16
釜田から約20分。
松亭に到着です。

さよなら～。
列車を見送ります。

最後部には荷物兼電源車が連結されていました。
日本では乗れなくなった客車列車。
わずか20分でしたが、乗れて良かったです。

数年後に通勤仕様の広域電車が走る予定です。
プラットホームの高さが違いますね。
広域電車が走るようになったら、客車のムグンファ号は消えてしまうんでしょうね。
韓国の鉄道もどんどん変わっていきます。

12:23
東海南部線新線ルートの松亭駅です。
近代的な駅に生まれ変わりました。
では、昔の松亭駅はどうなってしまったのか？
気になるので行ってみることにしましょう。

韓国も桜が綺麗です。

12:31
東海南部線の廃線跡です。

なにかの案内の横断幕かと思いきや‥
「松亭洞民は海水淡水公金を命をかけて反対する」松亭洞海水淡水公金反対推進委員会.と掲げられていました。

少し歩くとレールが残されていました。

着きました。
旧線の松亭駅です。
のどかな漁村にぽつんとあります。
こじんまりとかわいらしい駅舎ですね。

旧松亭駅の駅舎は、75年前の1941年に建てられました。
歴史的に価値が高い駅舎として、2006年12月に登録文化財第302号に認定されました。
列車が来なくなった今でも当時の思いを馳せることができます。

駅舎内に列車が走っていた頃の写真が掲示してありました。

旧松亭駅の全景です。
跨線橋がなくホームと駅舎は構内踏切でつないでいました。
高架化されて近代的になった新松亭駅にはない風情がありますね。
何度がこの駅を列車の窓から眺めましたが、列車が走っているうちに一度でもこの駅で降りてみるんだった‥と悔やまれてなりません。

12:45
それでは、廃線跡を歩いてみましょう。

コラァ！
線路に石を置いたらダメだろ。

大丈夫ですよ。
安心して下さい。
もう、ここには列車は来ませんから‥。

雄大な海が見え始めました。
東海(日本海)です。

海に沿ってレールが敷かれています。
この辺りからの車窓はとてもきれいでしたが、今は列車の窓から眺める事はできません。

北の方角を眺めます。
写真でお伝えできないのが残念ですが、風が強くなってきました。

13:10
岩山を削った切り通し。
タイで旧日本軍が連合軍捕虜やアジア人労働者に過酷な労働をさせて開通した泰緬鉄道のヘルファイヤパスを思い出してしまう。
ここは日帝統治時代に朝鮮人労働者を強制労働させて造った所ではない事を祈ります。

韓国美人の鉄子さん。
撮影に夢中でした。

岩山の上から眺めました。
この岩山をくり抜くの大変だったと思います。

13:19
歩き初めて50分。
青沙浦(チャンサボ)の踏切です。
旧松亭駅から2.4km。
ここからゴールの尾浦(ミポ)までも2.4km。
ここが中間地点のようです。

沿線の漁師さんがワカメを干して商売をしていました。

大韓民国の大極旗。
韓国ってこう言うの好きですね。

海に沿ってきれいな景色が続いています。

線路の上って意外と歩きにくいんですね。
足が痛くなってきました。

13:42
かわいいトンネル。
タルマジジェトンネルです。

海雲台の街が見えて来ました。
あと、少しです。

13:52
おしまい。

廃線跡を1時間20分歩きました。
もう、足が痛くてたまりません。

海雲台の観光スポット‥尾浦(ミポ)に着きました。

今、選挙をやっているみたいです。
韓国の選挙は歌に踊りがあってちょっとしたお祭りムードです。
誰が当選するのかな？。

尾浦周辺には海を眺める刺身店が並んでいます。

14:00
きれいな白い砂浜！
海雲台ビーチです。
夏の海水浴シーズンになると色とりどりのパラソルがビーチを埋め尽くします。

街を散策してみましょう。

海雲台を代表する老舗高級ホテル‥パラダイスホテルです。
カジノや免税店、スパなど夢の世界がここにあります。

今夜はここに泊まる‥と言いたいですが、金無しの筆者は下からあんぐりと口を開けて見上げるだけです。

パラダイスホテルの向かいには、東横イン。
そう、我が国日本でチェーン展開しているあの東横インです。
今夜の宿はここ‥ではありません。
散策を続けましょう。

14:14
海雲台はビーチリゾートとして有名ですが、温泉地でもあるんです。
こちらは「海雲台温泉センター」です。

海雲台温泉センターの向かいの公園には無料で入れる「足湯」があります。
みなさん、気持ちよさそうですね。

14:30
海雲台市場です。
ちょっと覗いていきましょう。

こじんまりとした市場です。
食料品や雑貨、衣料、飲食店が並んでいます。

お粥屋さん。
後で入ろうと思っていたのに忘れてしまいました。

メイン通りに隣接したアーケードでは野菜や海産物などの生鮮品が売られています。

市場入口の両サイドにある粉食屋さん。
オデンやトッポッキ、トゥィギム(天ぷら)、キンパッ(海苔巻き)など韓国のファーストフードを売っています。
ここでキンパッ(海苔巻き)を買いました。

14:45
ジャーン！
高層23階建てのホテル。
今夜の宿はココです。

実はこの建物‥東横インなんです。

今夜の宿は｢東横イン釜山海雲台2｣。
今年1月にオープンしたばかりのピカピカなホテルです。
今日は日曜日なので会員20%割引で泊まれます。
では、入りましょう。

東横イン釜山海雲台2
禁煙シングルルーム‥44000ｳｫﾝ(4400円)会員価格。
※公式ホームページで予約しました。

1階のフリースペース。
無料朝食の会場にもなります。

ミネラルウォーター無料！。
ミルクコーヒー&アメリカンコーヒーは6:00～10:00は無料！。
上記時間外は、ミルクコーヒー.100ｳｫﾝ(10円)・アメリカンコーヒー200ｳｫﾝ(20円)でお飲みになれます。

今夜の城です。

大きめのベッドがあるシングルルーム。
いつも泊まる東横イン釜山駅2と同じ造りです。
日本の東横インもこんな感じなのでしょうか？。
実は私、日本人でありながら日本の東横インには泊まったことがありません。

液晶テレビ・金庫・冷蔵庫・ポットはちゃんとあります。
困ったのは、東横イン釜山駅2にあった110Vの日本と同形状のコンセントがなかった事です。
東横インだからてっきりあると思って変換アタプターを持って来ませんでした。
フロントに相談すれば良かったのですが、めんどくさくて忘れてしまいました。
カメラとスマホ‥電池もつかな？。

トイレはウォッシュレット付き。
韓国のホテルは資源保護の観点から使い捨てのアメニティは規制があるので、置いてありません。

お部屋は15階です。
シティービューのお部屋でした。
海が見える部屋もあるようです。

15:20
遅い昼食です。

市場で買ったキンパッ(海苔巻き)とコンビニで買ったカップ麺とバナナ牛乳を頂きます。
ユッケジャンラーメンは私の好物です。
それから韓国に来たらベストセラーのバナナ牛乳も欠かせませんね。

キンパッ(海苔巻き)‥2000ｳｫﾝ(200円)
ユッケジャンラーメン‥800ｳｫﾝ(80円)
バナナ牛乳‥1300ｳｫﾝ(130円)
お茶‥無料。

17:41
ホテルで一休みして、再び街に出ました。

海雲台は温泉があります。
日本の温泉地のような情緒感はありませんが、ホテルや街に温泉に入れる温浴施設がいくつかあります。

街を歩いていたら、コリョオンチョン(高麗温泉)と言う銭湯を見つけました。
このビルの2階が女湯、3階が男湯のようです。
入ってみましょう。

コリョオンチョン(高麗温泉)‥5000ｳｫﾝ(500円)

韓国では銭湯の事を、沐浴湯(モギョクタン)と言います。

入口で入浴料を払って中に入ると、ロッカーが並ぶ脱衣所です。
脱衣所の真ん中には縁台があり、床屋や場所によっては仮眠室もあります。
浴室には内湯.サウナ.水風呂.垢擦りコーナーがあり、石鹸.垢擦りタオル.タオル.整髪剤.歯磨きチューブ(大きい奴をみんなで使う)の備品も用意されています。

では、お風呂に入って旅の疲れを癒しましょう。

18:35
いやぁ、さっぱりしましたね。
そろそろ夕食にしようと、海雲台市場にやって来ました。

新ヘウンデ.フェ.チプ(新海雲台刺身店)です。
ここに入りましょう。

韓国では刺身は魚一匹売りが多くて一人ではなかなか食べにくいのですが、中には定食を用意している食堂もあります。

とあるブログで見つけた新海雲台刺身店。
ここは、10000ｳｫﾝで刺身定食や焼魚定食があるので助かります。

一人で選べるのは写真のメニューですね。

上から‥
モンゲビビムパプ(ホヤ貝のビビンバ)
フェトッパプ(刺身丼)+コンチグイ(焼さんま)+メウンタン(アラの辛スープ)
センソングイ(焼き魚)+メウンタン(アラの辛スープ)
チャンオグイ(焼き鰻)+メウンタン(アラの辛スープ)
ムルフェ(刺身に氷水+唐辛子味噌+胡瓜+梨などを混ぜた釜山近郊.浦項の郷土料理)
フェ.ジョンシク(刺身定食)
チョンポッチュク(あわび粥)

フェ.チョハプ(にぎり寿司)

さぁ、どれにしようかなぁ～
色々あって迷いますが、刺身と焼き魚が味わえる「刺身丼定食」に決めました。

まず、ビールで喉を潤し‥

パンチャン(おかず)とサンマの塩焼きが並べられました。

キムチ四種盛り
サンマの塩焼き
きのこのマリネ
セリのナムル
生鮮魚の発酵漬
青菜と玉葱のあえもの

いきなり、たくさんのおかずが並べられました。
釜山のキムチはソウルのより発酵が進んでいますね。
生鮮魚の発酵漬‥これはちょっとキツかったですね。

これだけでお腹一杯になりそう。

そして、ドン！と出て来たのはメウンタンです。

魚のアラでダシを取った辛いスープです。
豆腐にボラの頭がふたつも入っていました。
この土鍋、大きいです。
こりゃ2～3人前はあるな。

メインの刺身丼です。

チョコチュジャン(酢とコチュジャンを混ぜた赤いソース)をかけた、刺身と野菜に
米飯を入れ、混ぜ混ぜして頂きます。

刺身丼定食の全景です。

なんと、これで10000ｳｫﾝ！(1000円)。

こりゃ、すげぇなぁ～。
では、頂きま～す。

刺身丼定食‥10000ｳｫﾝ(1000円)
ビール‥5000ｳｫﾝ(500円)

19:19
もぉ食えねぇ～。

食後の散歩をしましょう。
海雲台ビーチ西側を眺めます。
日が傾き、だいぶ暗くなってきました。

東側を眺めます。
白い砂浜と夜景がきれいです。

海雲台ビーチ沿いの高層ホテル群。

中央が私の宿泊しているホテル。
こうして見ると「東横イン」も周りのホテルに負けていませんね。

海雲台ビーチにある屋台村です。
なにげに覗いてみたら、土地柄、海産物類のつまみを出す屋台が多かったです。
1杯やりたい所ですが、もう、お腹がパンパンなので今回は諦めます。

19:45
部屋に戻りました。

ガウンを着て、片手にブランデー。
私の横には韓国美人。
夜景を眺めます。
‥な～んてね。
冗談です。
完全に妄想の世界ですね。

現実はスマホ握ったまま爆睡していました。

では、また‥

つづく。