緊急リベンジ離島航路旅！南大東島・その2. 大東海運 「だいとう」 乗船記 (那覇→南大東) 前編

16:10
ついに、念願の大東航路「だいとう｣に乗船にする時がやって来ました。

大東海運「だいとう」は通常、那覇港泊ふ頭から出航するのですが、本日はガスや燃料等を輸送する危険物搭載運航なので、那覇港安謝新港ふ頭からの出航となります。

なお、安謝新港には待合所などの設備はありません。

左に停泊している船が‥

大東航路に就航する大東海運「だいとう」690tです。

フェリーではなく、貨客船です。
外洋を航行する船としては、690トンと小さいので、それなりの揺れを覚悟しなくてはなりません。
この船の難易度が高い事がわかりますね。

7月4日、この船に乗船を試みましたが、残念ながら欠航になってしまいました。

しかし、ついに乗船できます。
究極の離島航路‥
これに乗る為に、船酔対策訓練を重ねてきました。

①大東海運:だいとう.南大東行
那覇.17:00～(船中泊)～南大東.10:00
運賃‥5690円。

たくさんのコンテナが搭載されています。
浄化槽まで積んでいますね。
この船が大東島になくてはならないライフラインである事がわかります。

では、恒例儀式を‥

乗るぜ、だいとう！
揺れるなよ。

16:15
では、乗船しましょう。
左の方が、事務長様です。
宜しくお願いします。

船室は2等のみで、船客の格差がありません。
この船では、富裕層も貧民もなく皆.平等なのです。
ただ、富裕層は飛行機に乗ると思うのですが‥

2等とは言え、大部屋雑魚寝ではなく、他社船だと2等寝台に相当する2段ベットが標準です。

えっと、私に指定された14番寝台は‥
あっ、ここですね。

しかし、他の寝台はベットメイクされて枕と毛布が用意されているのに、14番は何も準備されていません。
とりあえず、荷物だけ置いておきましょう。

船内のご案内。
先日の離島航路旅で欠航になったにも関わらず、大東海運様にお願いして船内見学をさせていただいたので、船内は把握していますが、恒例の船内視察を始めましょう。

船内ホール。
船内に食堂や売店はなく、カップ麺と清涼飲料水の自販機があるだけです。
電子レンジと流しがありました。

フロントや案内所はありません。
船員様が巡回はしていますが、緊急時等はこちらの受話器で、船員様と連絡がとれます。

救命胴衣着用方法。

これは重要です。
よく読んでおきましょう。

飲食コーナーです。
大海原を眺めながら、食事が楽しめます。

船内は、飲酒禁止です。
過去に泥酔した船客がトラブルを起こしたのが原因だとか‥

椅子席。
船内でゆったりと寛げます。
南大東～北大東の島間乗船のお客様はベッドでなくこちらに案内されます。

北大東島と‥

南大東島のガイドマップが掲示されています。

こちらは、5人用和室。
グループや家族連れのお客様に割り当てるそうです。

喫煙室。
船内は禁煙です。
おたばこはこちらでお願いします。

トイレ。
綺麗です。

ウォッシュレットもあります。
船体動揺が懸念される航路船舶ですが、G〇RO処がありません。
そのかわり‥

船旅の救世主‥G〇RO袋は船内のいたるところに配備されています。

甲板に出ました。
大東島での乗下船に使われるゴンドラはこちらに下ろされます。

産業廃棄物運搬船。
第04754125674号。
第04704125674号。
「だいとう」の別名です。
島の為なら、なんでも運ぶんですよ。

「だいとう」のファンネルです。
掲げられている左の赤旗はB旗と言い、危険物船である事を意味しています。

那覇港には三か所の出入口があるそうで、唐口(中国の方を向いている西側)、倭口(日本本土を向いている北側)、宮古( 宮古＝南側)となっています。
あとの2つの旗は第1代表旗とＴ旗と言うらしく、那覇港の行先信号を表し、「本船は唐口に向かって出港する」という意味なんだそうです。

ヘェ～

カーフェリーではないので、車はクレーンであげて、甲板にくくりつけます。

出航の時間が近づいています。
では、出航の儀(単に眺めるだけ)に参列しましょう。

タラップが外され‥

16:45
ホーサーがビットから外されました。。

※ホーサー‥係留用ロープ。
※ビット‥係留用鉄杭。

16:48
ゴゴゴゴォー
出航じゃ。

定刻より13分早く出航。
那覇～南大東.約17時間の船旅が始まりました。

あっ、あれは‥

琉球海運「ちゅらしま」9483t。
博多先島航路(博多～那覇～宮古～石垣)に就航するRORO船(貨物フェリー)です。
残念ながら旅客輸送は行っておりません。
あれに乗れたら、那覇～石垣を船で移動できるのに‥

通常、出航する泊ふ頭を横目に通過。

富裕層を乗せた、クルーズ豪華客船が停泊しています。
なんと言う船かな？

大きい船ですね。
調べてみると、ボイジャー・オブ・ザ・シーズ（Voyager of the Seas）アメリカのロイヤル・カリビアン・インターナショナルが運航するクルーズ客船であることが判明しました。

Voyager of the Seas
総トン数：137,276トン
全長：311.1m
全幅：48m
巡航速度：22.0ノット
乗客定員：3,286人
乗組員数：1,200人
就航年：1999年11月

あちらの船客は、この小さな船に旅客が乗っているなんて、思わないだろうな‥

あっ！
あれは‥

渡嘉敷村営「フェリーとかしき」499t 。
渡嘉敷航路(那覇～渡嘉敷島)に就航するフェリーです。

ボォー
互いに汽笛を鳴らして反航します。

前方には、那覇空港に着陸する航空機が飛んでいます。

ズームしてみましょう。
JAL機ですね。

港外に出ました。

那覇よ。
さらばじゃ。

那覇から東へ約400kmの地点に大東島はあります。
基本的な航海パターンは2種類で、北大東島先回りの「那-北-南-北-南-那」
南大東島先回りの「那-南-北-南-北-那」のいずれかです。
今日は、北大東島が先行です。

※運航スケジュール(北大東先行の場合)
1日目：那覇.17:00～(船中泊)～
2日目：～北大東.8:00/9:00～南大東.10:00/16:00～北大東.17:00
3日目：北大東.14:00～南大東.15:00/16:00～(船中泊)～
4日目：～那覇.7:30

大東航路の歴史について少し触れてみましょう。

那覇から大東諸島への物資輸送は、不定期の貨物船や漁船などが担っていました。
この画像は定期航路が開設される以前の様子で、よく見ると「第七国幸丸」と言う船が就航していたようです。

※南大東村立ふるさと文化センターの展示写真。

今も大東島での乗下船はクレーンに下げられたゴンドラで行うのですが、これはワイルドですね。
子供が大人に抱えられて乗っていますよ。
安全性もへったくりもありません。
今だったら、許されないだろうな。

※南大東村立ふるさと文化センターの展示写真。

昭和50年、念願の定期航路が拓かれ、大城海運が運航する「協栄丸」498t.が就航しました。

当時の運航スケジュール
1日目：那覇.13:00～(船中泊)～
2日目：～北大東.7:00/10:00～南大東.10:45
第3日：終日碇泊　(碇泊26時間)
第4日：南大東.7:00～北大東.7:45/17:00～(船中泊)～
第5日：～那覇.11:00

今は那覇～大東を14時間で結びますが、この当時は18時間かかっていたのですね。
ちなみに当時の運賃は、4000円だったそうです。

さて、大城海運はその後経営困難となり、南北大東島などが出資した大東海運(株)が設立され、昭和61年に｢協栄丸｣は大東海運の｢大東丸｣に船名を変え、初代｢だいとう｣が就航する平成2年まで、那覇大東航路で活躍しました。

大城海運「協栄丸」
大東海運「大東丸」
総トン数 ： 498トン
全長：52.6ｍ　
全幅：8.8m
航海速力 ： 12.5ノット
旅客定員 ： 71名
就航期間 ： 昭和50年～平成2年4月

※南大東村立ふるさと文化センターの展示写真。

初代の「だいとう」699t.です。
大東丸の代船として愛媛県今治市の山中造船で建造され、平成2年5月2日に就航しました。

約21年の間、那覇大東航路で活躍し、2代目の「だいとう」の就航により、平成23年5月19日の航海をもって引退。
その後、フィリピンへ売却され「LADY MARY JOY 3」として活躍しています。

大東海運「だいとう」初代
総トン数 ： 699トン
全長 ： 73.0 m
全幅 ： 11 m
航海速力 ： 14ノット
旅客定員 ： 55名（危険物積載時12名）
就航期間 ： 平成2年5月2日～平成23年5月19日

2代目の「 だいとう 」690t.です。
初代だいとうの代船として長崎県長崎市の渡辺造船所で建造され、平成23年6月1日に就航しました。
先代より総トン数は9トン減少しましたが、若干船体が大きくなりました。
航海速力がアップし、フィンスタビライザーを搭載しているため、先代に比べて横揺れに強くなりました。
～とは言え、海況が悪いと揺れるのですが‥

大東海運「だいとう｣ 2代目
総トン数 ： 690トン
全長 ：83.6m
全幅 ： 13.4m
航海速力 ： 16ノット
旅客定員 ： 55名（危険物積載時12名）
就航期間 ： 平成23年6月1日～

弧を描いて進路を東へと変えていきます。
今日は波がなく、わずかな動揺を感じるだけです。
快適な船旅になりそう‥

あっ！
また、何か来ましたよ。

久米商船「ニューくめしま」680t 。
久米島航路(那覇～渡名喜島～久米島)に就航するフェリーです。

慶良間諸島の島々が見えます。

指定された14番寝台がベットメイクされていない事を事務長様に申し出ると、コチラに案内されました。
この区画は本来、女性専用区画なのですが、今日は女性だけで利用される船客がいないので、私が使っても良いそうです。
これは、半個室みたいで快適そうですね。

38番寝台。
こちらが新たな私の城です。
ちゃんと、ベッドメイクがされています。

各寝台には枕と毛布が用意されており、寝台灯にはコンセントがついています。

各寝台にもG〇RO袋が配備されていました。
時化時の航行において、この船の揺れの凄まじさを物語っていますね。

この船の残念なところは、船客用の風呂やシャワーがない事です。
乗船前に風呂に入ってきましたが、暑いので汗をかいちゃいますね。
これで、凌ぐことにしましょう。

17:25
夕食です。
船内飲酒禁止なので「宴」は我慢ね。

野菜もずく天ぷら‥95円
かに風味サラダ‥30円引.138円
おにぎり弁当‥20円引.292円
シークワーサーいなり‥279円
与那原そば‥半額.177円
さんぴん茶‥30円

沖縄そばを調理しましょう。
電子レンジと流しがあるので便利です。

海を眺めながらの夕食‥
飲酒できないのが、残念だな。

与那原そば
野菜もずく天ぷら
ジューシーおにぎり
ハンバーグ
ミニコロッケ
鶏の唐揚げ
ウインナーソーセージ
ゆでたまご
たくあん
さんぴん茶

奥に見える陸地は‥

ズームしてみましょう。

沖縄本島.喜屋武岬沖です。
那覇からしばらくは、沖縄本島南部に沿って航行します。

18:45
そろそろ、夕日の時間ですよ。
今日は、綺麗に見えそうです。

黄昏の筆者。

ゆっくりと太陽が沈んでいきます。

夕日モードで撮影。

大海原に沈む夕日。
感動的だ。

ズームすると、雲が多いですね。

日が雲の影に落ちていきます。

ズームして良く見ると、水平線でなく、沖縄本島に日が沈んでいるみたいです。

19:17
沈みました。

おしまい。
パチパチパチ‥

今日、リベンジして良かった。

携帯は圏外になりました。
ぼんやりと寛ぐ筆者。

日が沈んだ後、水平線がふわっと赤くなりました。
この瞬間がまた綺麗なんです。
この後、一気に暗くなります。

月明りがとても美しい。

夜の航海が始まりました。

テレビでも見ますか。
BSだけ映ります。

テレビを見ながら、我が家のように寛ぐ筆者。

21:18
テレビを見ながら、何度か眠りこけました。
やることもないので、寝ましょう。

明日は南大東です。
拙い旅行記をご覧下さいまして、誠にありがとうございました。

つづく。