まるごと青森旅・その15.ほっこり下風呂温泉と幻の大間線

皆様、こんにちは。
青森旅6泊目は「下風呂温泉」です。
下風呂温泉は室町時代から刀傷や槍傷に卓効のある湯治場として有名で、井上靖の小説「海峡」の舞台となった温泉地なんです。

先に、下風呂温泉の泉質を紹介しますと‥
①大湯系（白濁）
泉質‥酸性・含硫酸-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉（硫化水素型）。
②新湯系（透明に近い）
泉質‥含硫黄-ナトリウム-塩化物泉（硫化水素型）。
③浜湯系海辺地1号
泉質‥ホウ酸-食塩硫化水素臭（緊張低張性高温泉）
④浜湯系　海辺地2号
泉質‥ホウ酸-含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉（硫化水素型）。
食塩硫化水素臭（低張性弱酸性高温泉）。

小さな温泉地なのに、泉質が異なる源泉がなんと4箇所もあるんです。
これは、スゴイですね。
では、宿に向かいましょう。

16:47
さて、私が泊まる宿は‥
下風呂温泉「坪井旅館」です。

創業87年ほどを誇る、家庭的な雰囲気の老舗宿。
今の建物は、平成8年に建て替えたものだそうです。
お世話になります。

↓坪田旅館(青森県下北半島・風間浦ポータルサイト.下北ゆかい村)
https://www.yukaimura.com/onsen/tsubota.html

私の城となるのは、'藤の間'です。
では、入りましょう。

お部屋はシンプルな和室です。
テレビと扇風機があります。
土地柄、冷房はありません。

[下風呂温泉 坪田旅館]
ビジネスにもお勧め！つぼたプラン2食付‥7,020円。
★和室6畳。
※入湯税別途150円
※じゃらんで予約しました。

バストイレなし部屋の契約だったのですが、客室にトイレがありました。
ウォッシュレットはありませんね。

この手洗い器。
懐かしい。

客室からの眺め。
目の前は森林で‥

下を見ると、清流とは言えませんが川が流れています。

共用の洗面室。
綺麗です。

共用のトイレ。
こちらには、ウォッシュレットがあります。

浴室。
内湯のみですが、源泉100％掛け流しのお風呂です。

坪井旅館は'新湯系'に属し、天候により、お風呂の色が 乳白色⇔透明 になる為、色の変化を楽しみながら入ることが出来るお風呂なんだそうです。

泉質：含硫黄-ナトリウム-塩化物泉 （硫化水素型）。 　

17:22
ちょっと、散歩に出ましょう。
宿の目の前に、共同浴場/新湯があります。

中は、少し大きめの浴槽が一つ真ん中にあるだけとなり、もうひとつの共同浴場/大湯と比べると源泉の温度は高いそうです。
※入浴料‥350円。

共同浴場/新湯から下る坂は'若返りの坂'と言い、坂沿いに数軒の旅館や民宿が建ち並んでいます。

こちらは、共同浴場/大湯です。

歴史ある下風呂温泉の中でも最も古い温泉で、浴場内部は、下北のヒバで作られた、熱湯と普通湯の２つの湯船があり、白濁した湯が静かに注いでいるそうです。
今日、月曜日は定休日でした。
※入浴料‥350円。

このコンクリート橋は、昭和18年に工事が中止された大間線のコンクリート橋です。
大間線は、むつ市の旧大畑線大畑駅(現バス乗り場)から下北郡大間町までを結ぶ計画であった未成鉄道路線です。
今、コンクリート橋は道路になっています。

コンクリート橋から、共同浴場/大湯を眺めます。
大湯を囲むようにして、旅館が建っていますね。
この界隈は大湯系の温泉街です。

コスモスの花が咲いていました。
もう、秋です。

そして、この橋梁は‥

観光資源として、平成17年4月に歩道整備された下風呂駅予定地付近の連続アーチ橋です。
横から眺めると、13連のアーチが見えます。

アーチ橋からは、下風呂の街を眺められます。

一部だけレールが敷かれ‥

その脇には、駅を模した建物があり‥

無料の足湯があります。

途中で廃線跡を離れ、階段で道路につながっています。

下風呂温泉中心街？
バス通りになっています。

この界隈は、大湯系・新湯系どちらでしょうか？
海に近いので、海辺から湧いている源泉.浜湯系かもしれまんね。

こちらは、新湯系温泉街の入口。
私が泊まっている'坪田旅館'の看板が目立ちます。

'若返りの坂'に宿が並ぶ新湯系の温泉街。
なんか、昭和チックな風情がありますね。
この坂の一番上に共同浴場/新湯があり、その隣に私が泊まっている'坪井旅館'があります。

17:42
ハァハァハァ‥
宿に戻りました。

酸ヶ湯温泉(上)と下風呂温泉(下)。
青森県の観光ポスターです。
今回の旅では、このふたつの名湯を楽しむことができました。

下風呂温泉郷のイラスト。
なんか、ほのぼのしますね。
表紙はこれにしましょう。

18:27
夕食「宴」のお時間です。
今回、2食付き7,020円の一番安いプランなんですが、地元の海の幸を使った料理が並びましたよ。
頂きま～す。

茹でイカと蕗の和え物
もずく酢
鮟鱇の珍味
ホヤ貝と若芽
刺身(ハマチ/サーモン)
カレイの煮つけ
イカのちゃんちゃん焼き

瓶ビール(中)‥648円

坪田旅館名物.イカのちゃんちゃん焼き。

風間浦村はイカが名物なんです。
イカの腸と味噌を和えてグツグツしていると‥
いい匂い～
食が進みます。

※イカのちゃんちゃん焼きは、5月～10月だそうです。

米飯とみそ汁も美味い！
デザートもついてきたよ。

米飯
味噌汁
漬物
フルーツポンチ

21:00
温泉と料理を堪能して、余は満足じゃ。

では、寝ましょう。
おやすみなさい。

4:58
おはようございます。
7日目の朝を迎えました。

今日の日の出は5:04です。
日の出を見に外へ‥

アーチ橋から日の出を拝もうとしたのですが‥

5:04
ありゃりゃ。
今日は雲が多くてダメですね。
残念。

5:14
すぐに退散し、宿に戻りました。
もうひと眠りしましょう。

7:58
再び、おはようございます。
朝風呂に入って、朝食です。
朝食も充実していますね。

鮭焼魚
イカ塩辛
イカソーメン
めかぶ
ブルーベリーヨーグルト
温泉たまご
緑草胡麻和え
米飯
海草味噌汁
たくわん
ホットコーヒー

9:08
チェックアウトしました。

格安で温泉と料理を堪能し、身体を癒せました。
お世話になり、ありがとうございました。

大間シクタン丸よ。
今日半日、宜しく頼みますよ。

9:11
では、出発！

宿から1kmも離れていない公園に行こうとしたら、入る道を間違えてしまって、3.5kmも走ってしまった。

9:20
「下風呂漁港」
'下風呂漁業協同組合'があり、こちらの主要魚種はマイカ・タコ・ウニ・アンコウ・ヤリイカなどと、水産製品の感想フノリの取り扱いもあります。
漁法は、釣り・採介藻・刺網・篭が中心だそうです。

「海峡いさりび公園」。
潮の満ち引きを利用して海水を引き込む人工中海。
対岸の北海道恵山を見渡せる展望台。
作家 井上靖の小説「海峡」にちなんだ文学碑。
同志社大学創始者「新島襄」の寄港記念碑が建てられています。

人口中海にある、奇岩・二見岩(画像右)。
海上安全と大漁を祈願する恵比須様を祭った小さな祠と鳥居が立っています。

時間が少し余っているので、もう一回、街を散策してみましょう。
大間線アーチ橋を眺めて‥

下風呂温泉の中心街(バス通り)をテクテク。

新湯系温泉街入口のアーチをくぐります。

すぐ先には、大間線のコンクリート橋があり‥

大畑方面は、コンクリート橋の先で、線路を敷く予定だった所(今は道路)は途切れていました。

公民館の隅にある建物‥
これは何でしょう？

正解は、駅のホームに出入りするために作られた階段です。

おっ！
たしかに駅の連絡通路らしき形をしていますね。
下ってみましょう。

地下部分は薄暗いです。

外に出ました。
昨日、ここを歩いたのですが、ここに駅予定だった階段の入口があるとは気づきませんでした。
看板も何もないので、たまに地元の方が使うだけでひっそりとしています。

もう一回、中に入ってみましょう。
連絡通路の階段を上ると、そこは駅‥

‥ではなく、風間浦村下風呂公民館です。
ここに、大間線下風呂駅が建設される予定だったそうです。

'若返りの坂'にある新湯系温泉街をテクテク‥

下風呂温泉の共同浴場/大湯です。

大湯系温泉街は、大湯を囲むようにある旅館が建っています。

ちょっとタイムスリップしてみましょう。
次の画像をご覧ください。

ほぼ同じ位置から撮影された、大湯の界隈です。
いつの写真か不明ですが、この位置から撮影したと言うことは、大間線のコンクリート橋ができた以後.昭和15年以降のものと思われます。

今は平屋建ての大湯が2階建てになっています。
右の'さが旅館'は建て替えられていますが、左の'まるほん旅館'は建物の形があまり変わっていませんね。

※この画像は、風間浦村商工会のサイトからお借りしました。

はい、再び'下風呂アーチ橋'です。
昭和15年9月着手した延長109mの陸橋で、スパン長8mが7連、6mが4連と2連、合計13連のアーチが並んでいます。

それでは、大間線のおさらいをしてみましょう。
※マニアックな内容なので、興味ない方は飛ばしてね。

大間線は、大正11年施行の鉄道敷設法別表１号に「青森県田名部ヨリ大畑ヲ経テ大間ニ至ル鉄道」として掲げられた予定線です。
建設理由は、軍事物資や兵員輸送・下北半島の開発・対北海道連絡線でありました。
▼
昭和12年6月に工事を開始。
昭和14年11月に大畑線(下北-大畑)の第1期開通区間が開業します。
▼
大畑以北の第2期開業区間の工事が進められ路盤の大半が完成。
終点の大間以外では駅も建設され僅かな未着工部分を残すのみとなったが、昭和18年12月に鉄道建設審議会から戦時中の資材不足を理由として工事の中止の指示が下ります。
▼
昭和21年.大間町長・佐井村村長・風間浦村村長・函館市長代理(助役)らの連名で国に工事再開の陳情がされたが、再開されることなく放置。
▼
昭和60年7月1日第1期開通区間として開業した国鉄大畑線廃止、下北交通に転換。
▼
平成13年4月1日 下北交通大畑線廃止。

道は右に曲がっていますが、大間線(大間方面)は直線に正面の茂みの奥に向かって計画線がありました。

さて、昭和18年に工事が中止となった大間線ですが、戦後、青函トンネル接続線(東ルート案)として工事再開案が持ち上がったことがありました。。
しかし、調査で下北半島北岸の水深240-300mにある谷が海岸線と平行してあり、那須火山帯上にもあたり地質上適切ではないことが分かったことから、昭和43年、青函トンネルは西ルート案(現ルート)に決定。
昭和39年、大間-函館間にフェリー航路が開設されると大間線の用地を道路に転用する案が有力になり、のちに国道279号に利用したために大間線の開通の可能性はなくなってしまいました。

すごい大間線廃線レポートを発見！
【山さ行がねが】廃線レポート。
↓興味ある方はご覧下さい。
http://yamaiga.com/rail/ooma/main.html

9:59
大間シクタン丸に戻りました。

10:03
レンタカーの契約は11:30までです。
そろそろ、大間に向かいましょう。

運転する筆者。

10:36
大間の街に入る手前に、展望台の看板があったので、ちょっと寄り道‥

「北通り総合文化センター ウイング」
大間町・佐井村・風間浦村の三町村からなる北通りの人々を対象とした「文化・教育・健康」及び原子力に関わる知識向上を目指す複合型文化施設です。
(財)下北北通り地域振興財団が運営しております。

※後になってわかったのですが、看板にあった展望台はここではなく、もっと先にある'西吹山展望台'のことだったようです。

「展示コーナー」
大間では原子力発電所の建設が進んでいます。
その為なのか、原子力発電と火力発電のちがいや核分裂のしくみなどを開設した展示が行われていました。

「大間崎灯台旧灯光器」
大正10年～平成11年12月20日まで活躍した'第4等水銀回転式フレネルレンズ'です。
長きに渡って、津軽海峡を航行する船舶の目標となりました。

館内には、温水プール・屋内運動場・多目的ホール・視聴覚室・図書室などがありました。

展望室です。
約25m付近からの眺めを堪能できます。

津軽海峡を眺めます。
今日は、北海道は見えないですね。

ズームしてみましょう。
大間の街と、大間崎灯台がある弁天島が見えます。

内陸側を見てみましょう。
北海道のような景色が広がっています。

ズームすると‥
牛の放牧が行われているのが見えました。

10:56
そろそろ、大間シクタン丸とお別れです。
レンタカー屋さんと提携しているスタンドで、給油していきましょう。

このスタンド‥
本州最北のスタンドでした。

1L=139円×6L給油→834円。

11:08
「大間郵便局」
本州最北の郵便局です。
コチラで‥

ハガキを出して、風景印を押して頂きました。

11:17
「グリーンストアー」
地元のスーパーで昼の食材を仕入れていきましょう。

大間のマグロを400円でゲット！

大間産マグロ小間切れ‥400円
鮪竜田揚げ‥255円
ご飯‥140円
玉子とうふ‥158円

11:30
オリックスレンタカー大間埠頭店に戻りました。
ここで、大間シクタン丸とはお別れです。
走行距離は、133kmでした。

さて、この後は路線バスで、今夜の宿へ移動します。
続きは次回です。

拙い旅行記をご覧下さいまして、誠にありがとうございました。

つづく。