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バスはセビーヤの南東に向かって走っている。エル・アラハルまでは立派な高速道路(自動車専用道路?)だ。丘の上に巨大な黒いトロ(雄牛)の看板。商業広告を国道からすべて撤去したあとも、いかにもスペインらしいこのトロの看板だけは観光用に残している。ただしメーカー名も何もいっさい入れない約束だという。
『ハモン・ハモン』というスペイン映画で、若いカップルがデートをしていたのが、丘の上のこの看板の下だった。ふられた彼氏(確かバンデラス)がトロのキンタマを遮二無二折り取ってしまうところなどはおかしかった。
いつか知人のスペイン人高校生とこの映画の話をしたら、「その映画はまずいでしょう」という。どうということのない映画だっし、別に成人映画ではないはずだ。若い彼にはセクシーなところばかりが気になったのかもしれない。
『ハモン・ハモン』とはセクシーな女の子という俗語でもあるそうで、そんな意味も掛けた題かもしれない。もっともこの俗語をさっきの高校生は知らなかったから、一般的でもなさそうだ。
喧嘩をする男同士が、何と骨つきのハモン・セラーノをこん棒のように振り回し
て殴り合うところや、生のニンニクを「これがスタミナのもとさ」といってはポリポリ齧っていたところなど、僕にとってはかなりスペイン人というものがわかったような気がして面白かった。
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