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王宮への入口である北門を目指して、王宮の壁沿いの道を歩いていると、西通用門に立つ門衛のすぐそばにいた男が、「止まれ」と言って、近づいてくる。
我々は、てっきり入ってはいけないエリアに足を踏み入れたと思い、足を止めた。
その男はIDカードのようなものを我々に示し、「どこへ行くんだ」と聞く。
「ワット・プラケオです」と答えると、「今日は休みだ」と男は答えた。
そんなはずはない。
そう思いながら男を見ると、ここから先は行っても無駄だ、いいところを教えるから地図を見せろ、と相方の持っていた地図を指さす。
そこでやっと僕は王宮周辺に出没する詐欺の話を思い出した。
次の瞬間、地図を開き、男に見せようとしている相方の腕を引っ張り、ノー・サンキューと男にきっぱりと言って歩きだす。
男はなおも、「王宮は休みだ。行っても無駄だ」と言って、追いすがってくる。
急ぎ足で、彼のそばを離れると、男を無視して歩き続けた。
やっと諦めてくれたらしい。
少しして男のほうを振りかえると、もう新しいカモを捕まえていた。
欧米系のバックパッカーの男女が、地図を開いて、男に見せている。
王宮入口の付近では、怪しげな男たちが観光客を呼びとめて、絵を売りつけようとしていた。
日本のキャッチと同じで、一度立ち止まってしまうと、執拗に付きまとわれる。
王宮の東側にまわりこみ、官庁が建ち並ぶラチャダムン・ナイを歩いた。
ここでも詐欺師が近づいてくる
こんな輩は無視するに限る。
「どこへ行く」「きれいな靴だ」
とにかく、立ち止らせようと必死だ。
立ち止っては、絶対ににダメ。
門衛の兵士と一緒にいても、信用してはダメ。
IDカードを出しても、信用してはダメ。
王宮は今日休みだ、といっても信用してはダメ。
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